眼帯生活あらため打撲生活10

とうとう総合病院へ来てしまった。天気が良過ぎて、色褪せた病院の壁が尚更暗く見える。絶好の散歩日和だが、とても楽しめそうにない。

 

予告通り、CT室に案内された。大きなドーナツの中を行ったり来たりしながら、ぶぉんぶぉんした音を聞いてるうちに5分ほどで顔周りのスキャンが終わった。

 

そして医者は言った。

「折れてますね。」

あぁぁぁ、恐れていた事態が!

でもそれよりも医者の言い方があまりにも軽過ぎて引いた。

 

どうやら眼球を受けている皿の様に薄い骨が折れていて、それが神経を損傷だか圧迫だかしているので、しびれが出ているようだ。今後その骨が固まる方向には向かうけど、完全に元通りにはならないし、しびれも治るかどうかわからないらしい。人生初の骨折が重大な箇所過ぎる。もう少し段階を踏みたかった。

 

今はしびれのほかに異常がないから放っておくしかないけど、骨が折れた箇所に眼球が落ち込むと、目の動きに支障が出たり、ものが二重に見えたりするので、そうなったらもう手術しかないそうだ。2週間程度の入院、全身麻酔で鼻から器具を入れてやるそうな。聞かなかったことにしよう。

 

ところで問題は、明後日から韓国へ出張するため飛行機に乗らねばならないことだ。先生からは、患部に圧力かかるのはよくないけど、鼻がかめるくらい支障ないなら乗っても大丈夫じゃないたぶん、というあやしい見解を頂戴した。骨折(初)、韓国(初)、キャンセル料(高)。行く以外の選択肢は残されていない。

 

会社に戻ると、「目の周り随分治ってよかったね」と言ってくれる人に対して、「いや治ったどころかむしろ折れてました」って報告するのが申し訳なかった。取引先の人からは、「完治したら快気祝いにコアラのマーチ持っていきます」とメールが来ていたので、「完治があるのかわかりませんが、コアラのマーチは大好きです」と返しておいた。