秋の街

人を見て季節を知り、人を見て時を知る。どちらも本来は自然が教えてくれるものだろうけど、街に住む者としては、木を見て風を感じてというよりも、濃色のスーツを着た群れが駅を往来する姿を見かけることで、秋を実感すると言った方がしっくりくる。駅がずいぶん重くなった。もうすっかり秋だ。

 

今日はとある都心にいた。一等地と思われる場所に立派なビルが建ち、写真と住所の響きだけならさぞかし羨ましがられる場所だと思うが、実際どぶ臭い。いや、どぶどころか下水っぽい。これではどんなに豪華なマンションであっても誰も招待出来ない。嗅覚は視覚以上に品位を正確に評価する。現地調査は大切に。ここは真に一流の人が住むところではないと直感的に思った、そして嗅ぎとった。

 

社会の荒波をいかに愛想で制し、理想へ向かう船の航路を安全に確保するか。お茶を頼んだら快く入れてもらえる人間になれ、デザートを頼んだらアイスを1個多めにおまけしてもらえる人間になれ。そしたらおのずと人はついてくる。

 

総務がこれからも舌打ちしないでお茶を入れてくれますように。そしてサーティワンのダブルがチャレンジしなくてもトリプルになりますように。