謎バス

毎朝バスに乗って通勤しているが、ちょっと気になるバスがある。通称「謎バス」。

 

謎バスは黄色のバスで、通常のバスよりやや小さい。青いバス、赤いバス、の次にバス停へ来るのが正しいのだが、時折青いバスよりも先に来たり、赤いバスが行ってしばらくしても一向に来ないこともある、極めてマイペースなバスだ。

 

そんな怪しいバスだから、混雑路線のはずなのに乗客が異常に少ない。座れる時間帯じゃないのに悠々座れる。赤いバスとほぼ同じルートを通るのだが、朝の社会人は謎バスで冒険に出ない。

 

謎バスに初めて乗ったのは、自分がいつも乗っている赤いバスに乗り遅れた日だった。赤いバスが去ってから1分も経たないうちに謎バスが来た。まるで自分が乗り遅れたのを待ち構えていたかのようなタイミングだった。小さいし人少ないし怪しさ満点だったけど、会社に遅刻するよりはマシということで乗車することにした。あぁ、これが異世界へ旅立つ乗り物だったらどうしよう。遅刻どころかこのまま一生会社に辿り着かなかったら社長ごめんなさい。朝から余計な心配をすること10分、無事いつものバス停に着いた。

 

謎バスがもっとも謎なところは、バス停に時刻表がないことだ。いつ来るのかよくわからない。自分の経験上、8時15分前後に現れるようだ。上り線の謎バスは見たことあるけど、下り線の謎バスは見たことがない。やはりどこかに行ったまま戻れないバスなのだろうか。

 

と思って停留所の時刻表を隅から隅まで見たら、あった謎バスの時刻表!

 

1日1本、8時12分発。

 

ここ日本一人口の多い市町村横浜だけど気にしない謎バス。赤いバスは1時間に5~6本走ってるけど気にしない謎バス。今日も謎を乗せ、乗客はたまに乗せ、走る謎バス。